北アルプス立山登山と観光の旅。雄山・大汝山・富士ノ折立三山縦走を目指すも…

みくりが池

登山初心者だけど北アルプスの山を縦走したい!
山に関する本を色々読んで初心者でもチャレンジできそうな立山へ行ってきました。旅の計画から実際に登った感想まで、初心者の記録を残しておきます。

立山縦走の計画と準備

今回の目的地は北アルプスの立山です。ちなみに「立山」という山はなく、雄山(おやま:標高3003m)、大汝山(だいなんじやま:標高3015m)、富士ノ折立(ふじのおりたて:標高2999m)の三峰を総省して立山と呼びます。
富山または長野から立山黒部アルペンルートを利用して標高2420mの室堂までアルペンルートまで乗り物で行けるので実際に登る高さは600mほど。日本百名山登山ガイドには「ビギナーでも手軽に3000m峰の霊山が縦走できます」とあったのでチャレンジすることにしました。
とはいえ、標高が高い場所を歩くのは身体に負担がかかりますし高山病も心配。立山縦走の歩行時間目安は約8時間で日帰りも可能なのですが、安全を見て2日に分けて歩くゆるやかな計画を立てました。

  • 1日め:大阪から室堂平まで移動。弥陀ヶ原、室堂散策、みくりが池温泉宿泊
  • 2日目:みくりが池温泉から一の越山荘(標高2690m)まで歩き、一の越山荘に宿泊。
  • 3日め:一の越山荘から雄山、大汝山、富士ノ折立と縦走。真砂岳、剣御前前小舎を経由してみくりが池温泉へ。そのまま宿泊。
  • 4日目:黒部ダム見学後富山へ移動して宿泊

1日目は高い場所に慣れる日、4日目は登山ではなく観光。山歩きは2日め3日めだけという旅です。4日目は扇沢から松本、名古屋経由のほうが効率が良いのですが富山にも寄りたくてこういうルートにしました。
移動はすべて公共交通機関。JRから出ている立山黒部アルペンきっぷを使いました。
大阪から富山までの乗車券特急券、大阪金沢間の特急指定席、立山黒部アルペンルート乗車券がセットで28,070円でした。

1日目:立山黒部アルペンルートで室堂へ。悪天候ながら山の景色に感動

大阪駅7時出発のサンダーバード特急に乗って金沢へ。そこから新幹線、電鉄富山線、立山ケーブルカー、立山高原バスを乗り継いで弥陀ヶ原に着いたのは12時30分でした。ちなみに弥陀ヶ原で途中下車せず室堂までまっすぐ行けば13時に室堂につきます。大阪出発最短ルート。
立山高原バスの中では滝などの見どころでアナウンスがあり、景色を楽しめます。

弥陀ヶ原で途中下車して散策

弥陀ヶ原の標高は1930m。美しい湿原と高山植物を楽しめます。

次のバスの出発時間まで1時間。弥陀ヶ原の散策コースは内回り(所要時間40分~1時間)と外回り(所要時間1時間20分~2時間)があり、1時間コースを歩きました。木道が整備されているので歩きやすいです。小雨が降るあいにくのお天気でしたが気分はアルプスの少女♪
弥陀ヶ原の木道
黄色いユリのような花はニッコウキスゲでしょうか。緑に映えて美しいです。

バス停の近くには弥陀ヶ原ホテルがありレストランも営業してました。
もう一つ次のバスにしてゆっくり過ごしても良かったかも。

室堂到着。ホテル立山の喫茶店りんどうでゆっくり過ごす

弥陀ヶ原13時30分発のバスに乗って20分で室堂に到着しました。駅の中には売店、レストランなどもあり活気があります。標高2400mの山の中とは思えない!
まずは休憩。あこがれのホテル立山、宿泊はできなかったけど喫茶店でケーキセットをいただきました。駅から喫茶店までは外に出ずに移動できます。
チーズケーキ
ケーキについているクッキーがとっても可愛い!珈琲もとても美味しく優雅な時間を過ごせました。
というのもこの日の室堂は雨を通り越して土砂降り!雷警報も出ていてゆっくり外を散策できる雰囲気ではなかったのです。

立山自然保護センターの室堂平観察ツアーは無料。時間が合えば是非!

ゆっくりした後、駅から直結している立山自然保護センターを見学しました。
こちらでは無料の自然観察ツアーを実施しています。「みくりが池 周辺にて、見ごろの高山植物など見どころを巡ります」という約1時間のツアーが15時からあり時間的にはばっちりだったのですが、この日は悪天候で中止でした。残念!
ということで土砂降りの雨のなか本日のお宿、みくりが池温泉に向かいます。温泉に浸かってゆっくりして明日の登山に備えましょう。
みくりが池温泉の宿泊記はこちらに詳しく書きました。
みくりが池みくりが池温泉宿泊記。日本一高所の天然温泉に癒される一人泊でもリーズナブルな宿

2日目:一の越山荘から雄山を目指す

事前の予定では2日目は一の越山荘へ向かうのみ。なので午前中に自然観察ツアーに参加するのも良いかな?なんて考えてたのですが天気予報ではこの日は午後から雨…というか山の天気は変わりやすくて予報できないので雨が降らないうちに早めに一の越へ向かうことにしました。
さらに3日目の天気も良くなさそうな感じで、縦走はやめて雄山へのピストンだけにしようかなという気持ちもかなり大きくなりつつ出発しました。
ともあれ、朝の天気は晴れ~曇り。美しいみくりが池を眺めながら歩き始めました
みくりが池

室堂から一の越山荘へ。景色は素晴らしいけど予想以上にしんどい

室堂駅近くの「立山玉殿の湧水」でお水を少しペットボトルにいただきまして

室堂駅を越えたあたりでパチリ。雪がまだ残っている山が美しい!この時はまだこの雪に苦戦するとは思ってませんでした。
室堂
これから歩いていく道が見えました。雪渓(せっけい)の中を歩いている人もいますね。
室堂の雪渓
雪渓を歩く…そう、この足跡をたどっていくのです。すべりそうで怖い。

見上げると美しい景色!真っ白な雪、見る分にはきれいなんですが。

ほかの方々はそのまますいすい歩いていたのですが、雪で滑りそうだったので何度目かの雪渓でアイゼンをつけました。転ばぬ先の杖ならず転ばぬ先のアイゼンです。一の越山荘の方に事前に伺った際にもアイゼンは必ず持ってくるように言われましたし。
雪渓をすぎると石畳でアイゼンをつけていると歩きにくく、アイゼンをつけたり外したり…で思ったより時間がかかりました。
そして高山で空気が薄いせいなのか普段の登山とは違って荷物が重いからなのか1時間ほど歩くとしんどくて…
ガスで山荘の姿もなかなか確認できず、雄山どころか山荘にたどり着くこともできないんじゃないかと不安をいだきました。

登頂開始から約1時間ほど歩いた場所からの景色。上のほうは完全にガスに隠れてます。


自分で自分をなだめながらなんとか歩きます。途中でお賽銭箱を発見!ゴールはもう少し?

室堂を出発してから約1時間半でようやく一の越山荘に着きました。よく頑張りました!

一の越山荘から見た山景色です。

一の越山荘の前は少し平地になっており、ここから名前の通り雄大な雄山がそびえてます。雄大さが伝わるでしょうか?目の前の建物は山荘ではなくトイレです。
一の越山荘から見上げる雄山

一の越山荘にチェックイン。部屋は和室

一の越山荘
一の越山荘に着いたのは10時頃でしたが、とりあえずチェックインします。朝食、夕食つきで1泊1万円。
早い時間ですが部屋に入ることができました。
お部屋は和室。約6畳のお部屋。シーズン中はたぶんここにたくさんの人が詰め込まれるのでしょうが、この日は一人で使うことができました。昨日のみくりが池温泉よりも広くて快適です。
一の越山荘部屋
お布団がたくさん積んであり、自分で敷くスタイル。コロナ対策のため使い捨ての紙の枕カバーをもらって使いました。
一の越山荘部屋
山荘の中も清潔です。広い洗面所の奥にトイレがあります。
一の越山荘の洗面所
チェックイン時に山荘の方に明日の天候を聞くと、今日よりも悪くなりそうとのこと。
やはり明日の縦走はあきらめて今日雄山ピストンするほうが良いと思い、リュックの中身を軽量化して外に出ました。

予定変更して雄山へ向かうも…

一の越山荘から雄山頂上までのコースタイムは登り1時間10分、下り50分。まだお昼前なので余裕です。
出発前に登山を終えた方のお話を聞いたりゆっくりした後頂上を目指します。
お天気は曇りでまぶしくもなくちょうどよい感じ。頑張って登ります!

一の越山荘までの道とは違ってここからはごろごろした岩場です。
雄山
ほんの少し進むと傾斜がとても急になります。歩くというよりよじ登る感じ。体感としてはもう垂直の斜面を登っている感じ!
少し登った場所から振り返ってみた一の越山荘。ゆっくりペースとは言えまだ5分も歩いてないのにこの高度!

さらに5分ほど進むと、ほんと高い!

私は高所恐怖症ではないのですが、ごろごろとしてすべりそうな足場とこの急斜面。
「登るのはなんとかなっても降りるの怖いんじゃない?」と思ったら急に怖さが出てきて。

ほら、こんなに急斜面なんです(涙)。



自分の「怖がり体質」を見くびってました。これ以上登ったら降りるのに苦労しそうなので泣く泣く下山することに。

とはいえ、そのまま引き返すことはできません。雄山は登りルートと下りルートが別で登りは赤の矢印を、下りは黄色の矢印を進みます。なんとか合流地点を見つけて…
こういうところはまだ歩けるのですが

この急斜面を下るとな…怖さマックスじゃないですか。

行きはよいよい帰りはこわい。ほうほうのていでなんとか下山しました。
こんな怖がりは私だけかと思いましたが、下山途中におひとり、同じように途中まで行って引き返した方もいらっしゃったし(その方は私より上まで行かれたそうですが)頂上まで行ったものの下山はとても怖かったとお話されていたもいて、怖いのは私だけじゃないようです。
雄山頂上からの景色はきれいなんだろうな~行きたかったな~と思いますが無理は禁物。もう少し修行してから再チャレンジします。山は逃げませんからね。

下山後、自撮り棒片手に山と一緒の写真を撮ろうと奮闘していたら下山時に一緒になった方が雄山神社のお札を譲ってくだったので途中までだけど登頂記念にパチリ。

いつか、ほんとに登頂して頂上で自撮りしたいものです。

一の越山荘で過ごす夕方~朝。登らなくても山は美しい

さて、そんなこんなしていてもまだお昼過ぎ。時間はたっぷりあります。
夕方になると人の姿も減り、広い山荘前の広場でたったひとり、景色を独り占め!
山荘で缶ビールを買ってこの景色に乾杯!
みくりが池温泉も良かったのですが、一の越山荘はほんとに山の中なので「山にいる」感をぞんぶんに味わえます。雄山登頂はできなかったけど山景色はじゅうぶん美しいし満足。

しかし夕方になると冷えてきます。7月なのに涼しいを通りこして寒いくらい…というかほんとに寒い。
「ストーブをつけてるので食堂で暖まってください」と声をかけていただき、暖を取りました。山の中とはいえ7月にストーブをつけるなんてびっくりです。

夕食は17時から。暖かいシチューがうれしい!山菜の天ぷらもおいしかったです。
一の越山荘の夕食
夜は曇りで星空は見えず。夕食後はすることもあまりなく、早めに寝ました。

おかげで朝は夜明けとともに目が覚めまして…
朝の雄山の景色を独り占め!

室堂方面の景色も美しい

室堂とは反対側の景色。ガスが晴れた瞬間に槍ヶ岳を見ることができました。右上の雲の上ちょこんと出ている三角のとんがりです。

この景色を見られただけで十分満足!お天気は曇りで予定通り縦走できなくもなかったのですが、昨日の軽量化したリュックでもしんどかったのに全荷物を持って縦走するのはしんどそう!途中でお天気が悪くなる可能性も高いし無理せず下山することにします。

朝食は7時から。朝食後すぐに出発できるよう荷物をまとめてから食堂へ行きます。
一の越山荘朝食
下山するだけでそんなに食べる必要はなかったのですが、おいしくてしっかり完食しました。

3日目:一の越山荘から室堂へ。下りはそれほどしんどくなく快適!

山荘からの景色も見納め。しっかりと見て写真を撮って、出発!

昨日通った道なので雪渓も心の準備ができてます。下りは上りよりも危ないのできちんとアイゼンをつけてクリア。

雪渓をよく見ると氷のかたまりがありました。ここに足を置いたらほんとに滑ってしまいますね。

一の越山荘を出発したのが7時30分で室堂到着は8時41分。後ろの景色を振り返りながらのゆっくりペースになってしまいました。
そして室堂8時45分発のバスにぎりぎり乗車!予定変更して黒部ダムに向かいます。

まとめ

計画通り縦走したかった!あんなに一生懸命計画したのに!という思いもありますが、お天気が不安定だったり高所の環境に慣れなかったり怖かったり。登山は平地とは違って「途中でリタイア」ができないので今回は無理しないで正解だったと思います。
反省点としてはリュックが重かったこと。かなり荷物を減らして軽量化したつもりだったのですがTシャツ1枚、化粧品1つ…の積み重ねで重くなるんですね。次回はもっと着替えを減らして軽量化して雄山頂上からの景色を見てみたいです。